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労務管理
2021.03.17ハリヤナ州における現地従業員雇用義務について
ハリヤナ州は、2021年3月2日、現地従業員の雇用を義務付けるTHE HARYANA STATE EMPLOYMENT OF LOCAL CANDIDATES ACT, 2020(以下「ハリヤナ州現地求職者雇用法」又は「本法」)を施行しました。同法は、ハリヤナ州で雇用を実施する場合、50,000ルピーを以下のポジションの雇用については、ハリヤナ州に居住する現地求職者(Local Candidate)からその75%を雇用すること義務付けることを内容とする法令であり、ハリヤナ州において事業を多く行う日系企業にとっては影響が大きいものと考えられます。本稿では、ハリヤナ州現地求職者雇用法の概要について解説します。
1 本法の適用範囲
ハリヤナ州現地求職者雇用法は、ハリヤナ州法であり、ハリヤナ州で雇用を行う場合についてのみ適用されます。また、本法は10名以上の者を雇用する会社、LLP等に適用されるものとされています。そのため、従業員10名未満の会社については適用されません。
2 使用者の義務
使用者は、本法施行から3ヶ月以内に、総月額給与50,000以下(又は政府が適時通知する額)の従業員を、指定ポータルにて登録しなければならないとされています。くわえて、指定ポータルにおいて所定のフォームによる四半期ごとの雇用された現地求職者に関するレポートの提出が義務付けられています。
また、使用者がハリヤナ州で雇用を実施する場合、50,000ルピーを以下のポジションについては、ハリヤナ州に居住する現地求職者(Local Candidate)からその75%を雇用することが義務付けられています。
3 現地求職者雇用の免除
本法では、十分な数の望ましい技術、技能又は技量を備える現地求職者が居ない場合、指定オフィサーに申請することで現地求職者雇用の免除申請を行うことが可能であるとされています。
なお、このような申請に対して、指定オフィサーは、(i)申請を受け入れる、(ii)申請を却下する又は(iii)使用者に対して現地求職者を訓練し望ましい技術、技能又は技量を備えさせることを命じることができるものとされています。
実際にどの程度免除が受け入れられるかという点については、指定オフィサーに裁量が認められる制度設計となっておりますので、今後の制度運用や必要とする技能の代替性がどの程度低いか次第になることが予想されます。
4 罰則
50,000ルピー以下従業員情報の登録義務に違反した場合、25,000ルピー超100,000ルピー以下の罰金とされており、現地求職者雇用義務に違反した場合、50,000ルピー超200,000ルピー以下の罰金とされています。
5 結語
ハリヤナ州では数多くの日系企業が事業を実施しておりますが、州外から雇用するケースも少なくないため、本法の与える影響は大きいものと予想されます。本法はハリヤナ州についてのみ適用されますが、例えばジャルカンド州でも同種の州法を制定するなど、本法の後追いとも考えられる動きも見受けられます。また、本法の違憲無効を争う訴訟も提起されていると報道されています。経済活動に大きな影響を及ぼす州法であり、今後の法運用の動向について注視する必要があります。
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