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労務管理
2019.07.04インドにおける法定退職金規制
日本では、退職金の支払いを使用者に義務付ける法律が存在するわけではなく、退職金制度を設けるかは使用者の判断によることになりますが、インドではThe Payment of Gratuity Act,1972(以下「退職金支払法」という)により、法定退職金制度(Gratuity)が整備されています。法定退職金の支払いの負担は軽く無いため、インド子会社をマネジメントするインド駐在員は労務管理の一環としてそのインド法定退職金制度概要を把握する必要があります。本稿ではインドにおける退職金制度の概要について解説します。
1. 法定退職金支払い義務が発生する条件
インドには法定退職金制度が存在しますが、必ずしも全ての会社に適用されるわけではなく、労働者の数が10名以上の事業所についてのみ退職金支払法は適用されるものとされています。ここでポイントとなるのが、基準となる10名はあくまで事業所毎に判断されるという点です。複数の拠点を持ち、会社としては10名以上の労働者を雇用している場合であっても個々の拠点の労働者が10名に満たない場合、退職金支払法の適用を受けず、法定退職金の支払義務は発生しないこととなります。なお、一度退職金支払法が適用されるようになった後に、事業所の労働者数が10名を下回ることになったとしても、同法の適用は免除されない点には留意する必要があります。
また、事業所の従業員数が10以上であり退職金支払法が適用される場合であっても、法定退職金支払義務は、勤続年数5年未満の労働者には発生しません。なお、従業員がその年のうち6ヶ月を超えて勤務した場合、1年としてカウントされます。
2. 法定退職金額の算定方法
使用者が支払うべき法定退職金額は法定されており、その法定される算定式にしたがって、退職金額を算定する必要があります。法定退職金額は以下の式で算定されます。
法定退職金額=最後に受け取った給与額×15/26×勤続年数
最後に受け取った給与額を算出するにあたっては Basic Salary 及び Dearness Allowance のみを算定の基礎とし、その他の各種手当は除外されます。また、週休1日の会社についても、平均給与を算出するための分母は26となります。なお、法定退職金額の上限は200万ルピーとされています。
以上の説明は、退職金支払法が求める、使用者が遵守すべきルールの下限となります。仮に雇用契約書や就業規則で退職金支払法より労働者に有利なルールが定められている場合、これに従う必要があります。特に、就業規則で勤続年数に関わらず退職金の支払いを認めることが規定されるケースが散見されるため留意が必要です。
以上インドにおける法定退職金規制について解説しました。ご不明点やご関心事項がある場合、お問い合わせページまたは右下に設置されていますチャット相談からお気軽にご連絡ください。
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